食品ロス削減に向けた「即時価格変動システム」、主要スーパーで一斉実証実験

大手流通グループとITスタートアップ各社は、賞味期限や消費期限の接近に応じて商品価格を自動かつリアルタイムに引き下げる「即時価格変動(ダイナミック・プライシング)システム」の実証実験を、首都圏の主要スーパーマーケット約100店舗で一斉に開始した。AIと電子棚札(電子プライスカード)を連携させ、店舗内の売れ行きや期限情報を監視することで、食品ロスの削減と店舗運営の効率化を同時に目指す。

従来の値下げ作業は、店舗スタッフが賞味期限を手作業で確認し、割引シールを貼るというアナログな運用が主流であり、人件費の負担や貼り漏れが課題とされていた。新システムでは、商品に付与されたICタグやバーコード情報をシステムが読み取り、販売予測AIが需要と在庫状況を分析したうえで、電子棚札の表示価格を自動更新する。これにより、期限が迫った商品が適切なタイミングで値下げされ、売れ残りを最小限に抑えることが可能となる。

先行実験を行った店舗では、惣菜やパン類、精肉・鮮魚コーナーにおける売れ残りによる廃棄量が前年比で約30%削減された。また、消費者にとっても「アプリや店頭ディスプレイで現在の割引状況がひと目でわかり、お得に買い物ができた」と評価は高い。さらに、閉店間際の過度な割引集中が平準化されたことで、レジの混雑緩和にも効果が見られたという。

環境省の推計では、国内の食品ロス量は年間数百万トンに達しており、そのうち店舗等の事業系ロス削減は喫喫の課題となっている。実証に参加する各社は、今回の検証データを基にAIの価格設定アルゴリズムを改良し、来年度以降の全店舗展開を目指す方針だ。流通業界における持続可能なサプライチェーンの構築に向け、テクノロジーを活用した新たな挑戦が注目されている。