水産養殖における陸上AIプラントの活用が進展 気候変動の影響を受けない安定供給へ

地球温暖化に伴う海水温の上昇や赤潮の頻発、記録的な不漁が続くなか、海洋ではなく陸上の施設内で魚介類を育てる「陸上AI養殖プラント」の事業化が加速している。水産物に対する世界的な需要の高まりと天然資源の減少を背景に、最先端のセンサー技術とAI(人工知能)を活用し、年間を通じて水質と給餌を完全自動制御するシステムが、食料安全保障の新たな担い手として脚光を浴びている。

従来の海面養殖は、自然環境や天候の変化に大きく左右され、魚病の発生や餌の不均一な摂取による育成のばらつきが課題とされてきた。これに対し、最新の陸上プラントでは、水温、酸素濃度、ペーハー(pH)値を24時間体制でモニタリングし、AIが個体ごとの泳ぎ方や摂餌行動を画像解析して最適なタイミングと量の餌を自動投入する。これにより、給餌コストの20%削減と育成期間の約30%短縮を同時に達成した。

さらに、閉鎖循環式と呼ばれる高度な水処理技術を導入することで、使用する人工海水の大半をろ過して再利用でき、環境負荷を最小限に抑えることが可能となった。生産される魚種もサバやサーモンにとどまらず、高級魚のクエやウニ、エビなど多岐にわたり、内陸部や都市近郊の工場跡地を活用した生産拠点の建設が相次いでいる。

水産アナリストは「天然資源に依存した漁業から、制御可能な製造業的養殖へのシフトは不可避である。特に天候や海域の環境変化に依存しない陸上AI養殖は、トレーサビリティの高さや安全性の観点からも、国内外の流通大手から高い評価を得ている」と指摘する。今後は初期投資コストの低減とエネルギー効率の向上が普及の鍵を握ると見られている。